Credit Pricing Corporation
事業哲学
Our Business Concept
はじめに
日本のバブル崩壊に始まる未曾有の信用リスクの顕在化は、今に至るまで日本経済の癌として暗い影を投げ掛けています。銀行は再編により巨大化しましたが、その代償として旧来型のメインバンクシステムの持っていた相互扶助機能は失われ、個別企業への過大なエクスポージャーを経済的に維持しえなくなってきています。また銀行の不良債権処理が既に十分か未だ不足かといった神学論争に終止符を打つために必要なはずの信用リスクのマーケットプライスは依然としてミッシングリンク(失われた環)のままです。
今求められているのはリスクを浅く広く拡散する為の新たな信用リスクテイカーの出現と、信用リスク投資における流動性と透明性を担保するフェアなクレジットプライシングの方法論の確立でありましょう。
我々は信用リスクについての膨大な実証研究の末、クレジットプライシングに関する信頼性の高い方法論を確立させつつあります。そして今般、日本における信用リスクマーケット発展の触媒となるべく、弊社を立ち上げました。この試みが日本経済のカタルシスを招来する一助となる事を望みながら、業務に邁進する所存です。
事業哲学
●個社の信用リスク量を精密に測定したい
弊社メンバーが最初の信用リスク管理にまつわる仕事を手掛けたのは、1993年前後に遡ります。その当時はまだ日本には信用リスク量の測定の為の基礎データが乏しく、社内格付→信用調査機関評点→海外の格付機関の格付→デフォルト率→社内基準デフォルト率といった恐ろしく迂遠な回り道を経て信用リスク量の測定を行ったものでした。教科書もろくにない中やり遂げた実感はありましたが、リアリティーの無さに正直「どうなんだろう?」と思ったものです。また与信現場における実体験を想起するに、なんでもかんでも格付で括ってしまうのはあまりにも雑駁な感を否めませんでした。当然与信を行う企業群はそれぞれに多様な個別性を秘めている訳で、そういう部分を体系的に語れてこそ意味のある信用リスク管理体系なのでは?と感じたものです。但し当時はまだデフォルト事象の数が不十分であり、かつ信用リスク管理手法の高度化に対する社会的要請も低く、思いが実現される環境にはありませんでした。
しかし時は流れて、公開企業の不倒神話は完全に崩壊し、未公開企業の倒産が激増した1999年頃から、様々な統計的手法を駆使して企業のデフォルトに至る過程を十二分に分析できる環境が整ってきました。弊社では同年中に公開企業と未公開企業における信用リスクモデリング(俗にいうクレジット・スコアリング)のコア技術体系を完成させ、今に至るまで様々なフィールドでのコンサルティングを通じた実戦経験を重ねてきました。弊社の技術体系は、最終的に解釈可能性を良くする為に評価結果を格付に落とし込むことはあっても、ベースになるのはあくまで個社毎の推定デフォルト(倒産)確率であり、そこから生み出される種々のプロダクトは精度の飽くなき技術的追求とクライアント様の審査実務担当の方々との評価結果をめぐる多くのディスカッションを経ながら磨きを掛けてきたものです。これらの知見を日本の金融のリスクテイキング能力の回復に生かしていくことが弊社の使命であると考えています。
●全ての信用リスク債権に価格を与えたい
今日金融において語られる問題の大半は全てクレジット・プライシング(信用リスクに時価を与えること)への社会的認知度の低さに起因します。例えば銀行の不良債権を巡る引当の過不足問題です。引当というものを実質的経済価値への簿価の修正と考えれば、これはすなわちクレジット・プライシングそのものです。所謂貸し渋り問題も、結局のところ、リスクに沿ったクレジット・イールドカーブを描く作業を行う主体が日本には存在しないことに帰結します。MMFの元本割れに関しては、本来最も時価評価が貫徹されるべき投信という器においてそれが為されていなかったという単純かつ重大な問題が顕在化した結果です。今日本の信用リスクテイカーは、連続的に伸縮する信用リスク債権の内在価値に目を向ける必要に迫られているのです。
弊社は上記クレジットスコアリング技術体系の開発と同時並行して、日本においてリスクと価格が最も理想的な状態で観測される社債マーケットの分析を進め、信用リスクスプレッドが期待デフォルト率とそのボラティリティリスクから形成される姿を目の当たりにしました。そして現在は社債マーケットにおけるリスクと価格の関係を、社債非発行公開企業→未公開企業へと展開する方法論を確立させつつあります。そして近時、未公開企業のプライシング技術が要注意・要管理債権のプライシングという形で思いの他早く、実戦に供されることになりそうです。
今後種々の信用リスクの価格が市場で明らかになるようになれば、例えば現在多くの「取り決め」の上に成り立っている今一つリアリティに乏しい信用リスクVaRによるポートフォリオリスク管理体系は、あたかも株価のVaR計算の如くシンプルなものになるでしょう。また個別取引もしくは取引先ごとの採算管理会計も、所有期間利回りの測定で事足りるという夢のようなことになるかもしれません。これらの技術が触媒になって日本における信用リスクマーケットが飛躍的に拡大することを願ってやみません。
●信用リスクの深淵を覗いてみたい
技術的にはある程度簡単に精度が出る公開企業の信用リスクモデリングでもアウトプットを見ながら評価企業のいく末に思いを巡らして行くと、そこには広大なアナリスト的洞察の余地があることに気付きます。そして未公開企業に至っては、その有り様は正に森羅万象であり、とても奥の深い学問がそこには横たわっています。またそれを評価しファイナンスを付ける企業側にも、特有の審査文化に裏打ちされた物の見方と商売の有り様と密接に結びついたオリジナル情報ソースが存在します。これらを考慮しながら作るカスタマイズドモデル構築作業は非常に知的探究心を刺激されるプロセスであるといえます。そしてこのような経験を踏まえるに、弊社は全てのリスクテイカーは全て異なる信用力評価尺度を持つべきだと考えています。そうなってこそ多様な相場観の交錯から健全な時価が生まれるのですから。
賭け事を好む方であれば、負けない技術と勝つ技術は似て非なるものであることがご理解頂けると思います。弊社が本質的に志向する技術開発の方向性は正に後者です。例えば公開企業モデルの精度向上がある一定以上進むと、ある同一格付内に所在する企業群の社債は大部分の超過リターンを見込める銘柄と少数の不採算銘柄に分類されていく様子が観察できます。今後も信用リスクの複雑さへの畏敬の念は十分踏まえた上でモデルの更なる精度の向上に情熱を傾けて行きたいと考えています。
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